なんと源流は同じ「ちくまがわ・しなのがわ」「あらかわ・すみだがわ」(日本の川シリーズ)
前回紹介した絵本「でんしゃ すきなのどーれ」の付録冊子に、生物学者の福岡伸一さんもおすすめされていた絵本、村松昭「川シリーズ」を今回はとりあげたいと思います。
こちらの日本の川シリーズは大好きな絵本で、全7冊すべて持っています。出会いは近くの公共図書館のリサイクル本の市で、「ちくごがわ」「よしのがわ」「いしかりがわ」をいただいたのがきっかけです。
地図のように細かくよく特徴を描がいている絵本に地理好きの私は感動し、すぐ他の川もないかと調べ、「たまがわ」「あらかわ・すみだがわ」「ちくまがわ・しなのがわ」
「よどがわ」と全シリーズを購入し、揃えました。
川の源流から海へとそそぐ河口までを、各地域の「山のかみさま(でんぐ、あかおに、おじぞうさまなど)」と「おつかいのこども(ゆきんこや、かわうそのこなど)」が空からみてゆくお話しです。
「おつかいのこども」は各地域の方言を話しているのもまたいいのです。(「よどがわ」なら関西弁)
よく絵本でまるで地図のように、ここまで描けるなと思うほど、細かくかつ特徴もつかんで、非常によくつくりこまれている絵本だと思います。
うら表紙の見返しには、細かい索引までついているので、まるで図鑑です。
川には本流だけでなく支流もあるのでじょうずに網羅しながら、お話しが進んでいき、また空からの俯瞰の絵が主ですので、そのページには「川の全体図」も小さくかかれているため、今このページは上流、中流など、わかりやすくなっているところもとてもよいです。
川だけではなく、各地域の川に生息するいきもの、魚、鳥、動物、草花も描かれており、その川周辺の歴史(古墳や戦国武将)も紹介しています。
道路や線路や駅、列車、廃線跡まで描かれているので、電車好きももちろん楽しめます。
このシリーズで一番好きなのは「あらかわ・すみだがわ」「しなのがわ・ちくまがわ」の2冊です。どちらの川も私の生活で馴染みが深いことが理由ですが、この本を読んで驚いたことが、なんとこの川は源流が同じだったのです。
源流のある山の名は、甲武信ケ岳(こぶしがたけ)といい、山梨(甲斐)・埼玉(武蔵)・長野(信濃)の頭文字から一字をとり名づけられたとおり、3県にまたがる山です。
信濃川(千曲川)、荒川(隅田川)、富士川の3つの川の源流がある珍しい山で、3つの川の分水嶺となっています。
(国土交通省関東地方整備局荒川上流河川事務所ホームページ参照)
一滴の水が山にしみこみ湧き水となり、一方は日本海へ、もう一方は太平洋へと流れ、そのどちらも日本を代表する川になるとは知りませんでした。そしてなんとロマンがあることでしょう。
信濃川は米どころとして日本の食を支え、荒川・隅田川は世界有数の大都市、江戸そして東京の繁栄を支える川として、同じ水一滴からはじまっているのです。
こちらの川シリーズは7冊出版されていますが、日本を代表する川はまだまだありますので、他の川も出版を熱望しています。