kakinokosyobo’s diary

絵本の紹介です

今さら黒四ダムに惹かれる2

プロジェクトXシリーズ黒四ダムの第二話「絶壁に立つ巨大ダム 1千万人の激闘」

こちらはダム工事を現場監督する中村精(くわし)さんが非常に厳しい上司として出てきますが、顔が今の人には見かけない、射抜く様な狙った獲物は逃がさない様な、悪を背負った顔をしています。

 

プロジェクトX 挑戦者たち シリーズ黒四ダム 「秘境へのトンネル 地底の戦士たち」「絶壁に立つ巨大ダム 1千万人の激闘」 [DVD]

 

その下で働いていた元作業員さんたちも口を揃えて「そりゃ厳しい人だった」と話しています。どうしたら早くダムが完成するのかを常に考え、クレーン運転士ブルドーザー運転士に時間短縮を指示するも、黒部の自然相手になかなか進まない工事の中、ある1人のクレーン運転士が自ら仕事に応募、風に揺れるコンクリートを積んだバスケットをピタリと揺れずに地面に下ろす、神業を披露する。

もうなんというドラマでしょう。ここぞというときに欲しい人材が現れるなんて、神様の采配ともいうべきことが起きるのですね。

 

社会生活向上のために電力確保へ向けて、厳しい黒部峡谷を相手に工事を進める中村精さんはじめ、数人の作業員が映像には出てきますが、その背中には名もなき1000万人の作業員がいて、犠牲者は171名にも及びました。

 

本末転倒かも知れませんが、私は映像を見て、ダムが完成するかどうかはもうどうでも良いことで、無謀な工事に挑むその姿に感動し、死ととなりあわせとわかりながら、死への恐怖を乗り越えていこうとするその姿勢に惹かれます。

 

今では労働安全上、法律、社会的に、もうこの様な仕事はできないですし、やる人もいません。

 

自分も当時生きていたら、できるのかというと、できません。

 

ただ今回のDVDを見て、

「ふーん 昔の人はすごいな~」(昔といっても今から60年前)

「戦後復興で仕事がないから、こんな過酷な仕事ができたんだよね~」

で終わらせたくない。

 

何か結果の見えない、どうなるかわからないことに挑戦しているその姿に、私は影響を受けました。それを今私の人生で、爪のさきっちょでもいいから、表現していきたい。

 

今や観光地となった黒四ダム、いつか訪れたい場所となりました。

 

 

今さら黒四ダムに惹かれる1

もうプロジェクトXが放送終了し、何年たつのでしょう。(調べたところ17年前でした)番組のテーマ曲、中島みゆきの歌う地上の星も大ヒットし、一代ブームとなりました。

 

番組の内容とぴたりと合う歌をつくり歌う中島みゆきは天才だなと思いました。あの音楽なしにこの番組は成り立ちません。

 

 

しかし当時の私は、どれだけ番組を見たのか全く覚えておらず、ネットで番組放送一覧を見てもピンとこず。あまり見てもいなかったのかもしれません。

 

紅白歌合戦中島みゆきさんが歌を披露した場所が黒部、プロジェクトXといえば、黒四ダムというくらい象徴的な、たまたま図書館で借りたDVDで、プロジェクトXシリーズ黒四ダムをみました。

 

プロジェクトX 挑戦者たち シリーズ黒四ダム 「秘境へのトンネル 地底の戦士たち」「絶壁に立つ巨大ダム 1千万人の激闘」 [DVD]

 

子育て中の身なので、なかなか腰を据えて映像を観ることが出来ないため、軽く何か家事でもしながら観る程度でいたのですが、すっかり映像に釘付けになりました。

 

善し悪しの問題ではありませんね。命懸けで仕事に挑む姿にただただ感動しました。今ならこんな環境で働くことは誰も出来ないでしょうし、社会的にも出来ません。

 

戦後の日本、ブラジル移民に行かなくては食べていくことが出来ない人がまだおり、ブラジルにいくなら黒部で働こうとした青年が、やはり黒四ダム建設に携り、その過酷さに、やはりブラジルに行った方がよかっただろうかと、考えて先輩技師に相談し、ここで諦めるならブラジルに行っても成功しないと言われ思いとどまったと番組内で話しており、その大変さがひしひしと黒部の冬の吹雪の映像とともに伝わってきました。

 

第一話「秘境へのトンネル 地底の戦士たち」ではダム建設のための資材運搬のため、大町トンネルを掘削する。その現場指揮をする親方、笹島信義さんの苦悩と希望、作業員達に死ととなりあわせのトンネル掘削をさせる責任感と、一刻も早くトンネルを貫通させ、ダム工事への道をつくらなければならない責任感との狭間の苦しみが描かれていました。

温かな部屋でぬくぬくと映像として見ている私には想像をもできない、壮絶な体験です。

 

トンネルが貫通し、仲間とともに酒樽をたたき、満面の笑顔でお酒を呑む笹島さんの顔が目に焼きつきました。

 

ともに作業に携わった作業員の名簿を見ながらお金では買えない大切なものと話す笹島さん。

 

なぜこんなに感動し、心を打つのだろうか、と自問自答しました。

トンネルというモノを作るという、思いそのものがモノを超え、死への恐怖を超えて、何百人もの一つの思いと行動が一致し、乗り越えていくことに感動するのだろうか。

 

そして今はこの様な壮絶な過去の上に成り立っているということを改めて感じる機会になりました。過去の苦労を忘れてはならないと思います。

 

 

絵本の古典 しろくまちゃんのホットケーキ

絵本には大人の書籍と違い、「対象年齢」が書かれているものがあります。福音館書店の絵本ですと「読んであげるなら○さいから・自分で読むなら○むき」と書いてあるものもあります。

それでもあくまで個人差はありますので本を選ぶ参考にする程度で、読んでみないと興味をもつか、集中力が続くかどうかは実際わかりません。また一度読んであげるだけではその時興味をもってくれなくとも、たまたまその時期ではなかったということもあり、わかりません。

 

次男もいつも電車の本ばかり読んでいて違う本も読ませたいなと思っていた矢先に、今月になりこちらの本

 

 

しろくまちゃんのほっとけーき (こぐまちゃんえほん)

しろくまちゃんのホットケーキ」わかやまけん さく こぐま社

 

を読んでほしいと自ら選んできました。

 

この絵本は家に2冊あり、どちらも別の方々から出産祝いでいただいた本です。それほど重なるくらい有名な絵本であり、手元にある本は2015年3月に第200刷という驚異的な数字をもっている、絵本の古典といっていいでしょう。

 

3歳0か月の次男はお手伝いをやりたい時期のようで、台所仕事に、お風呂そうじに、せんたくものの取り込みに、興味深々で、朝も一緒にリンゴを切ったり(実際は少し私の手に添えている程度)物干し台を一緒に片付けたり(ちからがないので台に触れている程度)しています。

 

もちろん私ひとりでやったほうが早いですが、時間が許すときには手伝いをさせています。

 

そんな次男にこの絵本はぴったりなのでしょう。道具をそろえること、料理を作る楽しさと、ホットケーキをつくった達成感、後片付けをするところを自分に重ねて読んでいるのかなと思います。

 

この絵本はいまの次男にぴったりなことを知り、ますますこの絵本のすばらしさを再認識しました。

 

やはり絵本にもあうタイミングがあり、よい絵本だとしても読まないことは多々あるので、日々読むことによって、好みや時期を知ることができると思いました。

また今回のように絵本を本棚においておくことで、ずっと読んでいなかった本を息子自ら手にとり読むきっかけになったことは、手元に絵本をもっておくこともやはり大切なことだと改めて思いました。

 

前回も書きましたが、赤ちゃんの頃は、「死なないように」お世話することが中心でしたが、3歳になり、親として、より強く情緒面や社会で生きていくためのことに移ってきたなと日々実感し、また一つ子育ての責任感を感じています。

 

 

 

息子よ、いい本を選んだね「まよなかのトイレ」

本が大好きで、本無しでは生きていけないと思っている私ではありますが、もちろん本屋さんや図書館も大好きです。ですので息子たちにも本に親しんでもらいたいと思い、できるだけ本屋さんや図書館に連れていきます。そして本屋さんに行った時は出来るだけ本を選ばせて、買ってあげる様にしています。

 

その中で最近長男が選んだ絵本がこちら

 

まよなかのトイレ (こどものとも絵本)

 

「まよなかのトイレ」 まるやま あやこ さく 福音館書店

 

私も息子もまだ読んだことのない絵本で、タイトルと絵で選んだ様です。

(ふだんは図書館で借りておもしろかった本を買うことが多いです)

 

真夜中のトイレは、子どもにとって怖い場所ですよね。寝ぼけているから意識がぼんやりして余計に恐ろしく感じるのでしょう。

あらすじは女の子が、そんなはじめてひとりで、まよなかにトイレに行くことになりました。お母さんについてきてほしいと思っていますが、下の子のお世話で手が離せないお母さんをみかねてひとりで行くことを決意。そしておそるおそるトイレにいくと‥

 

 

 

 

絵は優しくあたたかで安定感のある、今ばやりの絵ではないため、(林明子さんの様な感じの絵)てっきり以前から読みつがれている本かと思っていましたが、2021年の作とあり驚きました。

新作とは思えない懐かしさを感じる、よい絵本だと思います。

 

約7年子育てしてみて、「トイレ」という存在に子どもは妙に関心を示すことに気がつきました。大人にとって当たり前で必要不可欠な場所ではありますが、子どもにとっては何だか気になる場所で特別なようで、先日も次男は新しく移った保育園のトイレを、目を輝かせて案内してくれました。

 

次男も3歳まであと3日というところで、トイレではじめておしっこができるようになり、いまでは日中はパンツで過ごせるまでになり、あっという間におむつがはずれました。

 

長男のときは「トイレにまずすわらせること」をうながすため、座ったらシールをはってよいという「シール作戦」などで必死になっていましたが、次男は「いつかはずれるかな」とのんびりと構え、手を抜いていたので、長男よりは3か月ほどはずれるのが遅かったですが、二人めともなると、親も肩の力は抜けますね。

そしてだんだんと、人間としての当たり前の食べること排泄することが一人でできるようになると、赤ちゃんも終わって、次の幼児としてますます成長していくのだなと感じました。

 

 

力強い助っ人「ノンタンはっくしょん!」

次男が胃腸炎になり、お医者さんへ行ってきました。熱はありつつも、元気で機嫌よく、お医者さんに連れていくのもそこまで嫌がることがなく、助かりました。

 

長男の時もそうでしたがお医者さんに連れていくときのおまじないの様にいつも言うセリフがあり、「これからお医者さんのところに行って、おなかをもしもしもし、背中ももしもしもしってしてもらうんだよ」と話して連れてゆくと、比較的スムーズに連れていくことができます。(もちろん毎回うまくいくわけではありません)

 

この「むねをもしもしもし・・・」は、こちら、

ノンタンはっくしょん! (赤ちゃん版 ノンタン9)

「赤ちゃん版ノンタン8 ノンタン はっくしょん! キヨノサチコ 作・絵 (偕成社

 

のなかのセリフです。何度も読み、文章もリズミカルで、何度も読みました。すっかり暗記してしまいました。

 

この絵本があったおかげで、お医者さんに息子たちを連れていくのが、どれだけ助かったことか。診察が始まり先生に診せるときも「さあ、おむねをもしもししてもらおうか」というと、くすぐったそうにして聴診器を当てられています。

 

絵本の中でも「くま先生」に聴診器を当てられてくすぐったそうにしているノンタンですが、息子もお医者さんに診てもらうとき、同じようにくすぐったそうにしているのを見ると、微笑ましくなり、軽症でよかったと安心するのでした。

今年はどの絵本を贈ろうか?「メイシーちゃんのクリスマス」

ミニ版メイシーちゃんのクリスマス

「ミニ版 メイシーちゃんのクリスマス」ルーシー・カズンズ 作 なぎともこ 訳

偕成社

 

去年2才になる息子にクリスマスの絵本をプレゼントしました。その一冊がこちら

 

クリスマスになると大体本屋さんはクリスマスの絵本コーナーができ、赤と緑の華やかな感じになり、この時期ならではの好きな景色です。

 

メイシーちゃんの絵本は2冊目なのですが、1冊目は先輩ママである友達に頂いた本です。自分では選ばない本でしたので、頂いた時は嬉しかったです。

 

この本は12cm正方形の本なので、とても小さく持ち運びに便利で、帰省中の新幹線の中でも読めるかなと思い、選びました。

(しかし実際のところ持ち運んで読む機会は今のところありません)

 

メイシーちゃんのしかけ絵本となっており、プレゼントがしかけとして隠されているので、メイシーちゃんとみつけるお話しです。一番好きなページは最後のクリスマスツリーをひっぱるとキラキラしたツリーに変わるしかけです。

 

小さくてかわいらしく、日本の絵本にはない色合いとイラストのかわいらしさが、目をひくお気に入りの本です。

 

息子より私の好みで選んだ本でしたね。

 

今年は何を贈ろうかな。だいぶ好みがはっきりしてきたから、息子好みの絵本を選ぼうかな。

なんと源流は同じ「ちくまがわ・しなのがわ」「あらかわ・すみだがわ」(日本の川シリーズ)

前回紹介した絵本「でんしゃ すきなのどーれ」の付録冊子に、生物学者福岡伸一さんもおすすめされていた絵本、村松昭「川シリーズ」を今回はとりあげたいと思います。

 

 

ちくまがわ・しなのがわ (日本の川)

「日本の川 ちくまがわ・しなのがわ」村松昭/著 偕成社

 

 

あらかわ・すみだがわ (日本の川)

「日本の川 あらかわ・すみだがわ」村松昭/著 偕成社

 

こちらの日本の川シリーズは大好きな絵本で、全7冊すべて持っています。出会いは近くの公共図書館のリサイクル本の市で、「ちくごがわ」「よしのがわ」「いしかりがわ」をいただいたのがきっかけです。

地図のように細かくよく特徴を描がいている絵本に地理好きの私は感動し、すぐ他の川もないかと調べ、「たまがわ」「あらかわ・すみだがわ」「ちくまがわ・しなのがわ」

「よどがわ」と全シリーズを購入し、揃えました。

 

川の源流から海へとそそぐ河口までを、各地域の「山のかみさま(でんぐ、あかおに、おじぞうさまなど)」と「おつかいのこども(ゆきんこや、かわうそのこなど)」が空からみてゆくお話しです。

「おつかいのこども」は各地域の方言を話しているのもまたいいのです。(「よどがわ」なら関西弁)

 

よく絵本でまるで地図のように、ここまで描けるなと思うほど、細かくかつ特徴もつかんで、非常によくつくりこまれている絵本だと思います。

 

うら表紙の見返しには、細かい索引までついているので、まるで図鑑です。

 

川には本流だけでなく支流もあるのでじょうずに網羅しながら、お話しが進んでいき、また空からの俯瞰の絵が主ですので、そのページには「川の全体図」も小さくかかれているため、今このページは上流、中流など、わかりやすくなっているところもとてもよいです。

 

川だけではなく、各地域の川に生息するいきもの、魚、鳥、動物、草花も描かれており、その川周辺の歴史(古墳や戦国武将)も紹介しています。

 

道路や線路や駅、列車、廃線跡まで描かれているので、電車好きももちろん楽しめます。

 

このシリーズで一番好きなのは「あらかわ・すみだがわ」「しなのがわ・ちくまがわ」の2冊です。どちらの川も私の生活で馴染みが深いことが理由ですが、この本を読んで驚いたことが、なんとこの川は源流が同じだったのです。

 

源流のある山の名は、甲武信ケ岳(こぶしがたけ)といい、山梨(甲斐)・埼玉(武蔵)・長野(信濃)の頭文字から一字をとり名づけられたとおり、3県にまたがる山です。

 

信濃川千曲川)、荒川(隅田川)、富士川の3つの川の源流がある珍しい山で、3つの川の分水嶺となっています。

国土交通省関東地方整備局荒川上流河川事務所ホームページ参照)

 

一滴の水が山にしみこみ湧き水となり、一方は日本海へ、もう一方は太平洋へと流れ、そのどちらも日本を代表する川になるとは知りませんでした。そしてなんとロマンがあることでしょう。

信濃川は米どころとして日本の食を支え、荒川・隅田川は世界有数の大都市、江戸そして東京の繁栄を支える川として、同じ水一滴からはじまっているのです。

 

 

こちらの川シリーズは7冊出版されていますが、日本を代表する川はまだまだありますので、他の川も出版を熱望しています。