まだ面影残る上野駅/字のない絵本(電車好きの子へ)「やこうれっしゃ」
こちらも息子が想像力をはたらかせて自分でストーリーを作り読んだ、おすすめの「字のない絵本」
「やこうれっしゃ」西村 繁男(にしむら しげお)作 (福音館書店)
字はなく、絵のみの本ですが、国鉄時代にはしっていた、上野~金沢までの夜行列車の車内が描かれています。
季節は冬、お父さんと赤ちゃんをおんぶしたお母さん、男の子の4人家族が、上野駅から金沢に向かいます。年の暮れなのか、車内は混雑しています。
途中、水上駅で停車し、お弁当とお茶を買うところや、夜中に赤ちゃんが泣きだし、困っているお母さん、子どもをトイレにつれていくお父さん、車内でおむつを替えているお母さん、など書かれています。
今は金沢へは新幹線で行くことができますが、子育て中の身としては夜行で、しかも子どもを連れて帰省するなんて、想像するだけで、大変さが襲いますが、当時の親はこの絵本のように移動していたんですよね。(もちろん今より子育ての環境はおおらかだったとは思いますが)
車内では今では考えられない喫煙しているおじさんも書かれていたり、時代を感じますが、今は無くなった、のんびりした、いろんなものが入り混じった雑多が当たり前な大らかな空気感も感じます。
始めのページで上野駅の正面改札が描かれていますが、実際に先日息子たちと見にいきましたが、絵本とは違い改札が自動改札になり、お土産屋さんができていたりなど、変化はありますが、改札上に描かれている大きな壁画は当時のままでした。
絵本とおんなじだと嬉しいですね。
書いたのは有名な猪熊弦一郎(赤と白の三越の包装紙もこの方の作品)でした。壁画タイトルは「自由」。